なにげなく「バットマン」と呼ばれた男性を思い出しました。
私が小学生の時に現れました。たぶん、小学一年だったと思います。
ウチの小学校は体育の時間の時、となりの公園(といってもでかい)の一部を使っていました。
そこで体操をしている時に、ふと気の物陰に誰かいました。
それが「バットマン」でした。
出会いはもっと前にありました。
友達と2人でその公園でピクニックをしようと出掛けた時の事です。
「こんにちわ」と彼は私達に声をかけてきました。
別にバットマンの衣装を着ているわけじゃないです。
普通の身なりの中肉中背の男性でした。
私たちは若かった為、年齢までは判断しかねました。
先生と同じぐらいというイメージだったので20代~30代だったと思います。
「こんにちわ」と私が答えると
「ははははははははは」と笑顔で笑いました。
そう、この笑いが「バットマン」だったのです。
彼は私に質問し、答えると「あはははははは」と笑っていました。
何を話したのかはわかりません。
なんで私達に話し掛けたのかもわからずじまいでした。
何十分か話した後「それじゃあね」と彼は去っていきました。
「…変な奴ぅー」と友達とその後「バットマン」というネーミングをつけました。
そのピクニックには私はサンドイッチを作っていっていました。
ピクニックなんて二の次で本当はこのサンドイッチを食べたかっただけなんです。
さーて食べようかという時、
「ねえ」
気づいたら「バットマン」が背後に立っていました。
「(帰ったんじゃなかったのか)どうしたの?」と聞くと
「これ、あげるよ」とバナナをくれました。
なんでバナナ?
意味がわかりませんでしたが、私は「じゃあこれあげる」とサンドイッチをあげました。
「ありがとう」と彼はぱくっと一口で食べました。
うんうん、食べたから私たちも…と、思っていたのですが、
なんだか私は「今は食べちゃいけない」と思いました。
なんとなく「毒が塗ってんじゃないか」みたいな事を考えてしまいました。
彼は「どうして食べないの?食べなよ」と言うんですが、食べたくない。
「おなか一杯だから家に帰ったら分けっコするよ」とそのままバイバイしました。
家に帰るとお母さんはすごい剣幕で私を怒って、バナナを捨てました。
その時は「え?え?え?」という感じで放心してしまいました。
それから私は中学生になり、高校生になり、
なんとなく「バナナで釣ってやらしい事するつもりだったんだあのバットマンは」と気づき始めました。
そして、社会人になり26歳5ヶ月になった今日、やっとわかりました。
彼がリンゴとかお菓子とかでなく、あえてバナナを私に渡した理由を…。
いや、私の勘違いかもしれない、耳年増の私の勘違いであって欲しい…。
しかし、今日私はその思いを拭い切れませんでした。
たぶん、彼は連れ込んでとかでなく、「私達にバナナを食べさせる」事でもう目的は達成していたのではないでしょうか。
そして、その後の体育の出来事、彼は普通に立っていたんじゃない。
私達を見ていたんだ…。
いや、そんなもしかしてそんな…。
犯罪って近くにあるもんなんだなあ…と思った今日一日でした。